下肢血管・創傷センター

下肢血管・創傷センター長より

年を重ねるにつれ“あし”の動脈硬化や下肢静脈弁機能障害が進み、糖尿病、高血圧、高脂血症などの基礎疾患、運動不足、立ち仕事などの生活環境などの影響により病態がさらに悪化すると、歩行機能の低下、疼痛や慢性創傷などの皮膚障害の合併、最悪の場合「下肢切断も余地なし」の状態にもなりかねません。当センターは、そのような下肢血管障害や慢性創傷に対して、専門性の高い診療科のみならず多種職との連携による包括的治療を行って、未病・既病を問わず、患者さんの“あし”と向き合い、最適な日常生活を取り戻すお手伝いをいたします。

下肢血管・創傷センター長 長﨑和仁

知っておきたい
「足の病気」あれこれ

足が冷たい、痛い、色が悪い…下肢閉塞性動脈硬化症に注意!

知っておきたい「足の病気」あれこれ

下肢閉塞性動脈硬化症とは、足の血管が動脈硬化により狭窄(血管が細くなる)や閉塞(血管が詰まる)を起こして、血液の流れが悪くなり、足先まで栄養や酸素を十分に送ることができなくなる病気です。足の冷えやしびれに始まり、歩行時にふくらはぎが痛くなり(間歇性跛行)、さらに進行すると、なにもしていなくても足が痛み(安静時疼痛)、そして足に潰瘍や壊疽などが生じることもあります。糖尿病の方や透析を受けられている方においては、跛行症状を示さずに、安静時疼痛、潰瘍・壊疽で発症することもありますので注意が必要です。

治療は、保存的治療として薬物治療と運動療法、血行再建術治療として血管内治療と手術治療があります。血行再建術治療としては血管内治療(カテーテル治療)が第一選択となりますが、病変状態によっては手術治療(バイパス術)、血管内治療と手術治療を組み合わせた治療(ハイブリッド手術)が必要です。当院においても、病態やご本人のその他の状態を考慮して、適切な治療方法を選択、または組み合わせて治療を行います。

足が重くてだるい、足の血管が浮きでている方は、下肢静脈瘤があるかもしれません。

立った時に足の青い血管(静脈)がこぶ状に浮き出る病態を下肢静脈瘤といいます。静脈の弁が壊れて逆流することによって静脈の圧が高くなり、静脈が太く蛇行するようになります。足のふくらはぎがだるい・重い、むくみやこむら返り(つり)を繰り返すような方は下肢静脈瘤かもしれません。静脈瘤自体は生死にかかわるようなこともなく、下肢切断につながるようなこともありませんのでご安心ください。
しかし、徐々に進行し症状が現れた場合には、弾性ストッキング着用による圧迫治療、注射による硬化療法、高位結紮術、血管内焼灼術(ラジオ波焼灼術)、静脈瘤抜去術(ストリッピング術)等が必要となる場合があります。専門医が適切な治療法を提示し、「希望されない方に」強引に手術をお勧めするようなことはありません。数日の入院治療、希望があれば日帰り治療にも対応します。

足が急に張って、痛くなる…生死にかかわる静脈血栓塞栓症、早めに受診を!

静脈血栓塞栓症とは、下肢深部静脈血栓症と肺塞栓症を合わせた総称です。下肢深部静脈血栓症とは、下肢の深部静脈に血栓(血液のかたまり)が形成される病気で、エコノミークラス症候群ともいわれています。長時間座るまたは寝ている、手術後など足の運動を行わない状態がつづくと、筋肉ポンプが機能しないため、静脈内で血液が停滞し、血栓ができてしまい発症します。そして、歩き始めた時に、その血栓が血液の流れに乗って肺の動脈(肺動脈)に運ばれ、そこを突然ふさいでしまう(肺塞栓)病態になると、呼吸苦が生じ、重症例では死亡することもあります。下肢深部静脈血栓症は、血液検査 (Dダイマー)と下肢静脈超音波検査により、受診当日に診断することが可能です。急性期においては、肺塞栓の危険性もあるため入院治療を要しますが、この後は薬物治療、弾性ストッキングの圧迫治療にて管理します。

足のむくみはどうして起こる?

足のむくみはどうして起こる?

体の中でもっともむくみが生じやすいのが下肢です。心臓から遠い位置にあり血液の流れが悪いこと、重力の関係で水分がたまりやすいことなどが原因で、心臓に戻っていくべき水分が戻らない状態をむくみ(浮腫)といいます。原因としては、長時間の立位や座位、運動不足、水分や塩分の取りすぎ、下肢静脈瘤や深部静脈血栓症などによる静脈疾患、肝臓・心臓・心臓の臓器障害、甲状腺機能低下症、リンパ浮腫などがあります。血液検査、超音波検査(心エコー、腹部エコー、下肢静脈エコー)などの検査を施行することにより診断することができます。

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